移転登録・変更登録・記載変更


 ★ 移転登録とは、一般的には売買相続贈与などで、「所有者」が変わる手続です。また所有権留保の解除の手続きも移転登録になります。

  変更登録とは、所有者・使用者の引っ越しなどによる住所の変更正確には「使用の本拠の位置」の変更)、所有者の婚姻・離婚などによる氏名の

   変更や、「使用者」の変更などの場合の手続です。

  ※ 所有者に関してみれば、移転登録は所有者その人が変わってしまう場合、変更登録は氏名や住所が変わるだけで所有者その人は変わらない場合

    の、手続きです。

  記載変更とは、登録事項ではない項目のみの変更です。具体的には使用者の氏名が変わった場合、または「使用の本拠の位置」の変更を伴わない

   住所の変更です。所有権留保やリース契約で、使用者が法人の本店、使用の本拠の位置が支店・営業所の場合で、本店が移転したことで住所変更に

   なった場合が、このケースです。ただ、個人の場合はほぼ、住所=使用の本拠の位置なので、この場合はほとんどありません

  ※ 使用者と同居している人を新しい使用者とする場合は、住所=使用の本拠の位置は変わらない(車庫証明不要)のですが、変更登録になります。

   

所有権留保の解除

 所有権留保とは、自動車をローンなどで購入した場合、購入者が勝手に転売等ができないように、所有者が信販会社(クレジット会社)販売店

(ディーラー)になることがあります。この場合、車検証の所有者欄には信販会社・販売店が記載されます。これを所有権留保といいます。

 ですから、ローンを完済してしまえば、所有権も自らの名前にすることができるのですが、そのためには手続きが必要になります。その手続が

「所有権留保の解除」です。銀行系のローンの場合は最初から所有者=購入者の場合もありますので、所有者がわからない場合は車検証で確かめ

ておかれるとよろしいでしょう。

ナンバーが変わる場合

 使用者の住所(使用の本拠の位置)の変更によって、運輸支局などの管轄が変わる場合は、ナンバープレートの変更も必要になります。

弊所の属する、札幌運輸支局の管轄

石狩札幌市 石狩市 江別市 北広島市 恵庭市 千歳市 当別町 新篠津村
後志小樽市 俱知安町 余市町 古平町 積丹町 神惠内村 仁木町 赤井川村 泊町 共和町 岩内町
京極町 喜茂別町 留寿都村 真狩村 ニセコ町 蘭越町 寿都町 島牧村 黒松内町
空知岩見沢市 滝川市 砂川市 赤平市 歌志内市 芦別市 美唄市 三笠市 夕張市 新十津川町
浦臼町 月形町 南幌町 栗山町 長沼町 由仁町 上砂川町 奈井江町

と、なっています。したがって、上記の市町村内での移動であれば、ナンバープレートの変更は不要ですが、その他の市町村から(へ)の変更

がある場合は、ナンバープレートの変更が必要になります。

 以下は、弊所において手続きを行う場合の必要書類になります。ご自身で手続をされる場合は、内容が変わります。

① 移転登録

1・所有権留保の解除(軽自動車は4へ)

必要書類(個人の場合)

 ● 旧所有者(信販会社・ディーラー)の

   ① 譲渡証明書

   ② 印鑑証明書(または一括承認書)

   ③ 委任状

    ※ ローン完済後に送られてくる書類の中に、名義変更に必要な書類等の請求方法が記載された書類が送られてきます。

 ● 新所有者=使用者の

   ① 車検証

   ② 印鑑証明書(発行日から3か月以内のもの)

   ③ 委任状(実印を押印)

  が、必要になります。

   また、引っ越しなどで、使用の本拠の位置が変わる(住所変更がある)場合は、車庫証明が必要になります。

車庫証明不要の地域

 札幌運輸支局管内の地域でも、以下の適用除外地区に使用の本拠の位置を置く場合は、車庫証明は不要になります。

  〇 新篠津村 神惠内村 赤井川村 泊町 留寿都村 真狩村 島牧村 石狩市厚田区(旧厚田村) 石狩市浜益区(旧浜益村)

2・相続以外の所有者変更(軽自動車は4へ)

必要書類

● 旧所有者の

  ① 車検証(有効期限を迎えていない)

  ② 譲渡証明書(実印を押印) ※旧所有者のみ押印が必要

  ③ 印鑑証明書(発行日から3か月以内)

  ④ 委任状(実印を押印)

   ※ 旧所有者車検証に記載されている住所・氏名と、印鑑証明書の住所・氏名が異なる場合、変更の経緯がわかる公的証明書が必要になります。

    ○個人の場合 住民票・住民票の除票、戸籍謄抄本戸籍の附表・附表の除票(住所が繋がる必要がある)  

    ○法人の場合 登記事項証明書

  また、この際は、別途変更登録費用が必要になります。

● 新所有者=使用者の

   印鑑証明書(発行日から3か月以内)

   委任状(実印を押印)

  ③ 自動車保管場所証明書(車庫申請 証明日から1か月以内)

   ※ 当事務所に代行依頼される場合は、別途車庫証明手続の費用・書類が必要になります。

   ※ 同居している親子間での移動のような、使用の本拠の位置が変わらない場合は、車庫証明は不要です。

★ 新所有者と新使用者が異なる場合新使用者

  ① 住所を証明する書面

   ○ 個人の場合 住民票または印鑑証明書(発行から3か月以内) ○法人の場合 登記事項証明書または印鑑証明書(発行から3か月以内)

   ○ 支店登記されていない法人の支店・営業所 営業証明書、所在証明書など

   ※ 住民票はマイナンバー不記載のもの

  ② 委任状

  ③ 自動車保管場所証明書(車庫申請 証明日から1か月以内)

その他の書類

法人から、または法人への譲渡手続きからの移転登録の場合、取締役会議事録等が必要になることもあります(利益相反になる可能性があるため)。

また、所有者(新旧問わず)が未成年の場合は、親権者の許可も必要になります。この場合は、同意書(親権者の実印が必要)・戸籍謄本(未成年者と親

権者の関係がわかるもの)・親権者の印鑑証明書(1名分で可)が必要になります。

3・相続による所有者変更(軽自動車は4へ)

 通常の所有者変更との大きな違いは、旧所有者は亡くなられてしまっているので、旧所有者自身が書類を取得できないことです。その代わりに、相続に

よって、その自動車を取得したことを証明するための書類が必要になります。

必要書類

● 車検証(有効期限を迎えていない)

● 相続に関係する書類

 ★ 次のうち、いずれかのもの(相続人が1人しかいない・共同相続の場合は不要

   (原則)相続人全員の実印を押印した遺産分割協議書  

   新所有者にならない相続人全員の実印を押印した相続分不存在証明書(特別受益証明書) ※相続人1人につき1枚必要

相続分不存在証明書

すでに、被相続人から財産を受け取っている相続人が、対象となる自動車の相続分が無いことを証明するための書類。遺産分割協議書を作成して

いない場合に、自動車を相続する相続人以外が1人につき1枚作成することで、遺産分割協議書の代わりにすることができますが、こちらの場合

各自の印鑑証明書が必要になりますので、手間とお金がかかります。

    

   遺言書公正証書によるもの、または家庭裁判所による検認済みのもの) ④ 遺産分割による調停調書 

  ⑤ 遺産分割に関する審判書(確定証明書付)  ⑥ 判決謄本(確定証明書付)

  ⑦ 申請人である相続人の実印を押印した遺産分割協議成立申立書(申請人である相続人が、相続する自動車の価格が100万円以下であることを

    確認できる査定書又は査定価格を確認できる資料の写し等を添付した場合に限る)

遺産分割協議成立申立書

 相続する自動車の価値が100万円以下の場合に簡易的に手続きをする方法です。自動車の価値が100万円以下であることを証明するための査定

等が必要になります。ディーラーや買取業者などでも査定書の発行が可能ですが、売却などの前提が無い場合に査定書のみを発行して貰うのは

難しいかもしれません。その場合は⇒日本自動車査定協会が相続車両の査定を行っております(有料)。

 “遺産分割協議成立”申立書ですので、遺産分割協議が終わっていることが前提です。しかし、書類的には取得される方1人の署名・押印で作成

できてしまいますので、たとえ自動車の価値が100万円以下であっても、相続人全員が納得した上でなければ、後々トラブルになることがありま

すので、話し合いをしたうえでご利用してください。

 ★ 戸籍謄本 または 戸籍の全部事項証明書 または 法定相続情報一覧図(の写し)

  ※ ①の遺産分割協議書、②の相続人不存在証明書の場合は、被相続人の死亡が確認でき、かつ、被相続人と相続人の関係が全て証明できるもの

  ※ ③~⑦の場合は被相続人の死亡が確認できるもの

法定相続情報一覧図

 法定相続情報証明制度とは、戸籍謄本等の記載に基づく法定相続人を明らかにするものです。この制度を利用するため作成するのが、法定相続

情報一覧図です。作成した法定相続情報一覧図と必要書類を登記所へ提出することで、制度の利用が可能になります。相続において、不動産登記

・預金の払い戻し(金融機関による)・相続税の申告・遺族年金などの年金手続などの際に、被相続人・相続人の戸籍謄本を何通も用意しなけれ

ばいけない際、法定相続情報一覧図の写しを利用することで、手続を簡略化できます。

 相続による自動車の移転登録の際にも使用可能です。自動車の他にも不動産・相続税・預金の払い戻しなどの手続きが必要な場合は、作成して

おくと、その際にも手続きの簡易化が図れるので作成しておいても良いかと思います。また、他の手続きで既に作成している場合は、自動車の手

続きでも、法定相続情報一覧図の写しを利用すると手続きが楽になります。

 しかし、相続による自動車の移転登録のためだけに、作成することは手間が増えるだけになりますので、お勧めいたしません

● 新所有者=使用者の方の

   印鑑証明書(発行日から3か月以内)

   委任状(実印を押印) 

   ※ ①・②について、共同相続の場合は新所有者となる相続人全員

  ③ 自動車保管場所証明書(車庫申請 証明日から1か月以内)

   ※ 同居している親子間での移動のような、使用本拠地が変わらない場合や、抹消登録と同時申請の場合は、車庫証明は不要です。

★ 新所有者と新使用者が異なる場合の新使用者の方の

  ① 住所を証明する書面

   ○ 個人の場合 住民票または印鑑証明書(発行から3か月以内) ○法人の場合 登記事項証明書または印鑑証明書(発行から3か月以内)

   ○ 支店登記されていない法人の支店・営業所 営業証明書、所在証明書など

   ※ 住民票はマイナンバー不記載のもの

  ② 委任状

  ③ 自動車保管場所証明書(車庫申請 証明日から1か月以内)

 相続に関する書類が何もない場合は、相続人全員の実印を押印した遺産分割協議書、または新所有者にならない相続人の実印を押印した全員分(1

人につき1枚)の相続分不存在証明書(特別受益証明書)を用意することになります。

 また、相続した自動車を第三者へ譲渡したい場合は、相続による名義変更と、第三者への名義変更を同時に行う必要があります。

自動車の相続では まず所有者の確認

 自動車の相続においては、車検証で所有者が誰になっているかの確認が重要になります。ローン完済前であることを知らずに相続をしてしまう

と、ローンの残債も相続してしまうことになります。また、ローン完済後であっても「所有権留保の解除」をしていなければ、所有者が信販会

社・ディーラーの名前になっている場合があります。この場合は直接相続をすることはできません(そもそも被相続人の所有財産ではない)。

 具体的に行うことは、ローン完済前であれば、◎ローンを完済する ◎相続人が残ったローンを支払う(新たな審査が必要)◎自動車を手放す 

などの対応が必要になります。また、ローン完済後であれば、所有権留保の解除をしなければ、売却や廃車などの手続きに支障をきたします。

(他人のものを勝手に売ってはいけないということです)。

 ですので、手続は相続だけと思ったら、そもそも相続ではない、といったこともあります。。弊所では、手続きの一部・全部問わずお受けい

たします。お気軽にお問い合わせください。

4 軽自動車の場合

★ 札幌市・江別市・小樽市の場合、軽自動車では登録時には自動車保管場所証明申請書(車庫証明)は不要ですが、登録後に車庫証明の届出が必要にな

ります。

1・所有権留保の解除

● 旧所有者(信販会社・ディーラー)の

  ① 申請依頼書(自動車登録の委任状に相当します)

  ② 所有者承諾書

    ※ ローン完済後に送られてくる書類の中に、名義変更に必要な書類等の請求方法が記載された書類が送られてきます。

 新所有者=使用者の

  ① 車検証

  ② 申請依頼書(旧所有者の申請依頼書にまとめて書いても可・別に書いても可)

   ※ 住民票・・・新所有者=使用者の車検証記載の住所と、現在の住所が異なる場合に必要。マイナンバー不記載のもの。

2・相続以外の所有者変更

● 旧所有者の

  ① 車検証(有効期限を迎えていない)

  ② 申請依頼書

 新所有者=使用者の

  ① 住民票 または 印鑑証明書  ※住民票はマイナンバー不記載のもの

  ② 申請依頼書(旧所有者の申請依頼書にまとめて書いても可・別に書いても可)

3・相続による所有者変更

   車検証(有効期限を迎えていない)

   住民票 または 印鑑証明書  ※住民票はマイナンバー不記載のもの

  ③ 被相続人の戸籍謄本など(被相続人の死亡、被相続人と新所有者=相続人の関係がわかる書類)

  ※ 車検証に記載されている内容と、戸籍謄本などに記載されている内容に違いがある場合、変更があったことを証明できる書面が必要になります。

  ④ 申請依頼書

 ★ 軽自動車の相続の場合は、遺産分割協議書などの書面は必要ありません。しかし、現在、軽自動車であっても200万円以上するのもあります。

   その意味では価値の低い財産ではありません。相続人間でしっかり話し合いをした上で、誰が相続するか合意をしてから、名義変更をすることを

   おすすめします。

② 変更登録・記載変更

1・所有者・使用者の住所・氏名の変更の場合

  ① 車検証

  ② 〇住所変更の場合・・・住民票 または 印鑑証明書

   ※ 車検証に記載されている住所・氏名と、住民票・印鑑証明書の氏名・住所が異なる場合、変更の経緯がわかる公的証明書が必要になります。

    ○個人の場合・・・住民票・住民票の除票、戸籍謄抄本戸籍の附表・附表の除票(住所が繋がる必要がある) 

    〇氏名変更の場合・・・戸籍謄本(旧氏名と現在の氏名が記載されているもの)

  ③ 委任状(押印不要  ※ 軽自動車の場合は申請依頼書

  ④ 使用者の住所(使用の本拠の位置)が変わる場合・・・自動車保管場所証明申請書(車庫証明)  ※ 軽自動車の場合は登録時には不要

   ※ 記載変更(使用者の氏名のみの変更)の場合は不要 ※ 所有者≠使用者の場合で、所有者の住所が変更になった場合は不要。

2・使用者の変更

 この中には、所有者=使用者である状態から、使用者を変更する場合も含まれます。

  ① 車検証

  ② 所有者の委任状  ※ 軽自動車の場合は申請依頼書

  ③ 新使用者の住民票など、住所を証明する書類

  ④ 新使用者の住所(使用の本拠の位置)が変わる場合・・・自動車保管場所証明申請書(車庫証明)  ※ 軽自動車の場合は登録時には不要

    ※ 所有者=使用者の状態から、使用者を同居している配偶者・お子様へ変更する場合などでは、車庫証明は不要になります。

まとめ

 以上、移転登録・変更登録・記載変更について書いてまいりましたが、ご自身にとって必要な変更が何か、必要な書類が何かわかりづらいところもある

かもしれません。ただ、変更登録・移転登録に当たる変更があった場合は、15日以内に申請をしなければ道路運送車両法違反となり(第12条・第13

条)、違反すると罰金50万円以下という罰則もあります(第109条の第2項)。15日を過ぎてから窓口で手続をしたからといって通報されて…とい

ったことはないと思います。しかし、変更をしていないと、住民票などが必要な手続きが急に必要になったとき、住民票の住所と車検証の住所が違うので

手続きができません。さらにこの状態を放置し続けると、自動車税(種別割)の納税通知書が旧住所に送られることになります(郵便局に転送届を提出し

ていれば1年間は転送されますが)。自動車税未納状態になると車検は受けられなくなりますし、滞納時には延滞金もかかります。

 引っ越しや結婚後などは多忙なこととは思いますが、移転登録・変更登録は早く行うに越したことはありません。ご多忙な方、手続きがよくわからない

方は、お気軽にお問い合わせください。

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